修正型電気けいれん療法(m-ECT)について
当院では主に「内因性うつ病(大うつ病)」に対する治療法として、修正型電気けいれん療法を施行しています。
この治療法は、まだ薬物療法がほとんどなかった1930年代に開発された歴史のある治療法です。
頭部に電流を流して、通常とは異なった脳の電気活動を誘発することにより抗うつ効果を期待します。
施術は、全身麻酔のもと筋弛緩薬(筋肉を柔らかくする薬)を用いて行ないますので、身体的な負担が非常に少なく、苦痛もありません。
治療は患者さんに数分間眠っていただいている間に終了します。
現在では、欧米において「早期に社会復帰を求められる方々」に良く施行されています。
ただ、同じような「抑うつ症状(うつ状態)」であっても、治療効果が期待できるタイプとそうでないものがあります。
食欲不振、さまざまな身体症状などが目立つ、いわゆる「内因性うつ病」の場合、80〜90%に効果が期待できます(一方、抗うつ剤の場合は良くて50〜60%止まりです)。
適応を検討致しますので、治療をご希望の方は、現在の主治医からのご紹介状をお持ちいただくようお願い申し上げます。
現在、定期的な受療機関をお持ちでない方は、直接当院までお尋ねください。なお本法は、医療保険適応の治療法です。
治療は、一日おきに十回までの施行となりますから、最大で3週間ほどの入院を要します。(ただし多くの場合は、数回で効果が認められます。)
大学病院や総合病院などで施行する場合は、精神科医が麻酔科医の協力のもと施行しますのでかなりの前準備を要しますが、当院では麻酔科標榜医であり、かつ精神科専門医でもある考由医師がその両方の手技を行なうことから、速やかに施術の段取りを進めることができます。
考由医師は、昭和50年代に九州大学医学部付属病院において本治療法の定式化を行ないました。
またその後は、他の大学病院にも本法の施行手順をお伝えして来た経歴を持ちます。現在までに数百例の施行実績を持ちますが、麻酔や手技に関する医療事故は経験しておりません。
このように、決して万人向けの治療とは言えませんが、特に重症・難治の内因性うつ病の場合には、施行を考えてみてよろしい安全な治療法だと言えます。
参考文献 : 麻酔管理下電気けいれん療法(無けいれんECT)とその告知同意 について
(精神科治療学Vol.9 No.11, 1994, 星和書店、齋藤考由)
☎ 0942−34−3110